タカラ塗料のブログ
2024年8月1日 | CATEGORY:代表大野ブログ, 車刷毛塗り全塗装
タカラ塗料代表の大野です。
今回も前回に引き継いで色あせについて書きます。
色あせについての記事はこちら
さて、前回は無機顔料より有機顔料が色あせしやすいと書きましたが、黒は無機顔料なのに色あせが起こりやすいといわれています。
その原因は「黒は紫外線や赤外線を吸収しやすいから」です。
ほかの色は反射がある程度あるのですが、黒は光を吸収するので黒いのです。ですので他の色よりも劣化が早くなる傾向があります。
さらに光を吸収するので熱くなりやすい、というのも遠因としてでてきます。
熱を蓄えやすいので熱くなったり冷めたりを繰り返します。それも顔料の劣化、さらには樹脂の劣化も早め、褪色やクリアはげの原因にもなります。
はい、ここまで来たところで、この色褪せ記事の冒頭に出てきたお写真です。
こちらの車の色褪せ、なんかツートンカラーかというふうにパキっと色分けされている部分とグラデーションになってしまっているところがありますよね。なぜこうなってしまったのか、考えてみることにしましょう。
まずは天井とボンネット。ほとんどシルバーになってしまっています。
こちらのお車はもとは赤っぽいメタリックだと思うのですが、見事にシルバーになり、さらにクリアはげも出てきています。
これは天井とボンネットは太陽光が当たる率がが高く、仕方がないと言えばそうなのですが、赤メタリックの赤(有機顔料)がなくなってしまい、シルバー(無機顔料)だけになってしまっているのです。
さらにボンネットはエンジン自体の熱もよくあたるので余計に劣化が早くなります。
バンパー部分とフェンダー部分にも注目してみると、これも面白いことになっています。
これはなぜでしょうか?
引っ張りますがつづきます。
2024年7月31日 | CATEGORY:代表大野ブログ, 車刷毛塗り全塗装
タカラ塗料代表の大野です。
今回も前回に引き継いで色あせについて書きます。
色褪せの記事はこちら
前回にも書いたのですが「無機顔料」と「有機顔料」があるという話でしたが、どんな顔料かというと下記のようになります。
無機顔料(無彩色や低彩度色が多く退色しにくい)
□白
チタン白
□黄色
チタン黄 黄色酸化鉄(イエローオーカー) 黄鉛
□橙
クロムバーミリオン
□赤
赤色酸化鉄(べんがら)
□青
群青 紺青 コバルトブルー
□緑
複合酸化物グリーン 酸化クロムグリーン
□黒
黑色酸化鉄(鉄黑) Fe. Mn系複合酸化物 カーボンブラック
□その他
メタリック顔料 パール顔料 防錆顔料 艶消し顔料
有機顏料(鮮やかな色が多く退色しやすい)
□黄
モノアゾイエロー ジスアゾイエロー ポリアゾイエロー ベンズイミダゾロンイエロー イソインドリノンイエロー キノフタロンイエロー
□橙
モノアゾオレンジ ジスアゾオレンジ ベンズイミダゾロンオレンジ ペリノン
□赤
モノアゾレッド ポリアゾレッド キナクリドンレッド ナフトールレッド ベリレン アンスラキノニール ジケトピロロピロール
□紫
キナクリドンバイオレット ボンマルン ジオキサジンバイオレット
□青
フタロシアニンブルー インダンスレンブルー
□緑
塩素化フタロシアニングリーン 臭素化フタロシアニングリーン
□その他
蛍光顔料
このようになります。何が何やらぼくもわかりません。
さらにこの中でも退色しやすい色もあります。例えば蛍光顔料ですが、屋外で蛍光や蓄光などの色というのは見たことがないかと思います。それらの色は本当に1カ月もすれば飛んでしまう(なくなってしまう)ので屋外では使えないのです。いや、使ってもいいけどすぐになくなってしまいますし、それでもいいと割り切れるほど安いものではないのです。
つづく
2024年7月30日 | CATEGORY:代表大野ブログ, 車刷毛塗り全塗装
タカラ塗料代表の大野です。
今回は車の色褪せがなぜ起こるのか?について書きます。
昔から「赤い車は色褪せしやすい」というのが常識でした。
よく駐車場の看板とかでも赤い文字だけ飛んでしまって、重要なところが読めない、なんてありましたよね。赤は紫外線を吸収しやすく、より退色が早いのです。
ただ現在ではマツダがイメージカラーにレッドを使うように、紫外線によって退色しにくい(色褪せしにくい)色が採用されるようになってきました。
それだけ強い色が開発されてきたのです。
ここでいう「色」とは「顔料」のことを指します。
塗料は「樹脂」と「顔料」で構成されていて、樹脂は(ほぼ)透明なものです。
顔料は2種類あり、色を出す「着色顔料」と粘度を上げるためや厚みを持たせるための「体質顔料」があります。
で、色を表す「着色顔料」にもさらに2種類あり、「無機顔料」と「有機顔料」があります。
一般に「無機顔料」は太陽光線などの紫外線に強く、「有機顔料」は弱い(色褪せしやすい)傾向があります。
そして無機顔料は白や黒、鈍い色やシルバー、パールなどで、有機顔料は赤や黄色などの鮮やかな色が多いです。
続きます