タカラ塗料のブログ
2024年9月10日 | CATEGORY:Q&A, 代表大野ブログ, 車刷毛塗り全塗装
タカラ塗料の大野です。
新色アンケートのときに特にいただいた今日はこちらのご質問です。
Q.刷毛やローラーで塗れる艶有の塗料が欲しい
A.ごめんなさい、やっぱり無理です。。
現在の技術では刷毛やローラーで塗ってきれいになる艶有は難しいです。
ちょっとマニアックに説明します。
刷毛やローラーで塗ると凹凸ができます。その凹凸の大きさは塗り終わって乾燥した後、指で触ると感じることができるレベルの大きさです。これがあると艶有塗料で塗るとその凸凹をしっかりと拾い、覗き込んで自分の顔を映すと自分の顔にモザイクがかかったように見えます。
これが艶消し塗料だとそもそも顔が映りこまないので凸凹は気にならないのです。
ではよくある質問でその凸凹を平らに削ってコンパウンドをかけて磨けばツヤツヤになるのではないか、といわれます。
たしかに原理的にはできなくもないです。現に家具やピアノを塗る際には「たんぽ塗り」という方法があるのですが、何度も塗っては乾かして削り、塗って乾かして削りを繰り返し、最終的にツヤツヤに仕上げる方法です。
では車も同じ方法で塗ればツヤツヤにできるのでは?と考えるのですが、家具類と車が違うのは、家具は基本的に平面が多く、車は曲面が多いので磨く難易度の差があります。
平面の場合は当て板をしながらまんべんなく削ればいいのですが、曲面の場合は当て板をして削ると曲面の頂点の部分に点で当て板が接するので削りすぎてしまう場合があります。
そうならないように慎重に削る必要があるのです。それを手で車全部を均等に磨いて、刷毛やローラー塗でついた凹凸をすべて平らにするのは難しいといったところです。
また刷毛やローラーでついた凸凹が表面張力で平らになるように粘度を調整できればいいのでは?という考えもありますが、塗料は粘度を下げるとたれやすくなります。絶妙に均等についてたれるまでに乾く、という無理難題があるのです。。
とまあ無理な理由を書きましたが、もしかしたら!もしかしたら!そのような技術ができるやもしれませんので、その際は車を塗れるようにいたしますので、もしできたらまたお知らせいたします。
2024年9月9日 | CATEGORY:Q&A, 代表大野ブログ, 車刷毛塗り全塗装
タカラ塗料の大野です。
アンケートでいただきましたもので結構多かったのがこちらのご質問です。
Q.刷毛やローラーで塗れるメタリックやパールはできないでしょうか?
A.できなくもないんですが、おそらく思うような結果にはならないです。。
できればとてもかっこいいのですが、まだ思うようなきれいな塗装ができるメタリックやパールの材料に出会ったことがないです。
狭い面積なら何とかごまかして塗ることもできるのですが、車のパネルほど大きいものだと「筋」ができます。
まずメタリックやパールの顔料は粉なんですが、この粉はまん丸ではなく板状なのです。
板状のものをローラーや刷毛で塗ると物理的に押さえつけながら塗られるので、この板状の顔料が寝た状態で向きがそろってしまいます。これが筋の原因となります。
吹付塗装場合はこれがまんべんなく立ったり寝たりした状態で塗れるのできれいに見えるのです。
一度試してみたくってパール顔料を塗料に混ぜて車のボンネットに塗ったときの動画がございます。
こちらもご覧くだいませ。
2024年9月6日 | CATEGORY:代表大野ブログ, 車刷毛塗り全塗装
タカラ塗料の大野です。
先日、
<ご質問>塗るのが楽なので、バランサーをあらかじめ混ぜておくことはできないのでしょうか
という記事を書いたのですが、こちらに補足です。
「バランサーにはアルコール類が入っており、暖かい時期など1㎏から3㎏の塗料に使っている容器がパンパンに膨れてしまって破裂の恐れがあるのです。」
と書いたのですが、それを裏付ける写真が撮れました。
こちらです。
左が通常、右がバランサーを入れて保管していた容器です。
蓋がちょっと膨れているのがわかると思います。
こうなるとちょっとしたショックで破裂してしまうかもしれないので注意が必要です。。
2024年9月5日 | CATEGORY:Q&A, 代表大野ブログ, 車刷毛塗り全塗装
タカラ塗料の大野です。
アンケートは昨日の夜までだったんですがものすごくたくさんいただきまして、一つ一つご意見を拝見しております。ありがとうございます。
ご質問にも一つ一つお答えしていこうと思います。
Q.車に塗れる色で蛍光色はできませんか?
A.できなくもないというか、覚悟が必要です。。
車に蛍光色を使えばバチっと目立つので使ってみたい気がします。おそらくめちゃくちゃ目立ちますよね。
全塗装じゃなくても一部の部分だけでも蛍光を使ってみたい気もしますよね。
しかし、いろいろなハードルがあるのです。
■耐候性全然よくない
そういえば?と思うと思うのですが、屋外で蛍光色を見たことがありますか?
基本的に蛍光色は耐候性(太陽光線に強いかどうか)が著しく弱いのです。おそらくですが塗って表に出したら1週間で褪色し始め、2,3カ月で色はほとんどなくなってしまうでしょう。
それでもここ一発だけでも使ってみたいですよね?しかしもう一つのハードルがあるのです。
■高い
一応長持ちさせるためのクリアみたいなものも作れなくもないのですが、それを塗ったとしても気休め程度の耐候性なのに、キロ単位で1万超えるので、全塗装するとなる3-4万ぐらいの値段にはなってくると思います。
それでもやりたい方のために開発もできなくはないのですが。。。
また機会があれば実験してみます。
2024年9月4日 | CATEGORY:Q&A, 代表大野ブログ, 車刷毛塗り全塗装
株式会社タカラ塗料の大野です。
今回はアンケートにていただきましたご質問にお答えします。
Q.艶消しの車は雨染みが気になる なぜなのか?
A.艶消し剤の影響です。
ちょっと今回は難し目に説明させていただこうと思います。
まず塗料の主成分の話をしますと、塗料は顔料と樹脂からできていいます。
樹脂というのはほぼ透明なもので、それに顔料が混ざって色がついています。
顔料というのは色を付ける「着色顔料」と粘度を上げたりほかの機能性を持たせたりする「体質顔料」に分けられます。
艶を消す場合、この「体質顔料」の一種である艶消し剤を大量に塗料に入れることになります。
この体質顔料も種類があるのですが、やや多孔質の成分だと思ってください。
この艶消し剤をたくさん入れると、塗料が乾いていくにつれて水やシンナーが蒸発していき、塗料の膜の厚みが薄くなります。その時に艶消し剤が塗料の膜の表面に凹凸を作ります。
その凹凸で光が乱反射して艶感がなくなるのです。
さてこの多孔質の艶消し剤が表面にある状態で雨染みなどの汚れが入り込んだ場合、樹脂部分についた汚れは落ちるのですが艶消し剤の多孔質の中に入り込んだ汚れはそのまま出てこれなくなります。
ホワイトボードを想像してもらったらわかるのですが艶消しのホワイトボードはありませんよね?これも艶消しのホワイトボードを作るとホワイトボードのマーカーのインクが多孔質の艶消し剤の中に入り込み取れなくなってしまうので作れないのです。
ということで艶消しの塗膜の雨染みは取れにくいのです。。
ただタカラ塗料としましても雨染みが付きにくい艶消しの車用の艶消し剤や、そもそも汚れが付きにくい艶消し剤などの検討もしていきます。(気長にお待ちいただければと思います。。)