タカラ塗料のブログ
2024年8月2日 | CATEGORY:代表大野ブログ, 車刷毛塗り全塗装
タカラ塗料代表の大野です。
今回も色があせたりするのはなぜ起こるのかシリーズです。どんどん話がマニアックになっていきます。
前回なぜバンパーとフェンダーで色が変わってくるのか?という話で引っ張りましたが、これが根の深いお話でして。僕が考えてることがあってるかどうかをメーカーにも確認して満を持して書いていきます。
まずそもそも、金属であるフェンダーと樹脂であるバンパーでは塗り方が違う、という問題があります。
違う塗料が違う方法で塗られているというのが現状です。
塗料が違うと同じ味を目指して天津飯を作っても使う卵が鶏とダチョウでは仕上がりが違ってしまうというイメージです(このたとえ、わかりますか?わかりませんか??)
まずボディ部分は金属であるため、電着塗装という方法とられます。
電着塗装はボディに電気を流してボディを塗料のプールにつけたり、吹き付けて、電気の力で均一に塗料をつけていきます。
そして最後にボディを焼き、塗装を定着させます。
対してバンパーは樹脂なので電気が通らないので静電塗装という方法がとられます。
こちらは樹脂パーツに対して静電気を帯びさせて均一に塗っていく方法です。
そして樹脂パーツは熱をかけるとゆがんだりしやすいため、熱をかけずに常温乾燥(とはいえ多少の熱をかける)をします。
そして最たる違いはボディはメーカーで塗装をして、バンパーなどの部品は下請け工場で塗装をします。
近年の塗装はほとんどがパールかメタリックです。これらの顔料は丸い粒ではなくって板状だったり鱗片状だったりします。
これらの顔料は吹付のやり方で板っぽいものが立ったり寝たりします。それだけで色が違って見えるので塗る環境や人や機械によっては色が変わって見えてくるのです。
ですのでボディとバンパーでは塗ってる塗料も方法も人も場所も違うのです。
もちろんメーカーも色を合わせる努力をしているのですが、人間の目はかなりシビアに色を見分けることができるのでそれらの違いを見えてしまうのです。
さて、長くなるので続きます。。。
2024年8月1日 | CATEGORY:代表大野ブログ, 車刷毛塗り全塗装
タカラ塗料代表の大野です。
今回も前回に引き継いで色あせについて書きます。
色あせについての記事はこちら
さて、前回は無機顔料より有機顔料が色あせしやすいと書きましたが、黒は無機顔料なのに色あせが起こりやすいといわれています。
その原因は「黒は紫外線や赤外線を吸収しやすいから」です。
ほかの色は反射がある程度あるのですが、黒は光を吸収するので黒いのです。ですので他の色よりも劣化が早くなる傾向があります。
さらに光を吸収するので熱くなりやすい、というのも遠因としてでてきます。
熱を蓄えやすいので熱くなったり冷めたりを繰り返します。それも顔料の劣化、さらには樹脂の劣化も早め、褪色やクリアはげの原因にもなります。
はい、ここまで来たところで、この色褪せ記事の冒頭に出てきたお写真です。
こちらの車の色褪せ、なんかツートンカラーかというふうにパキっと色分けされている部分とグラデーションになってしまっているところがありますよね。なぜこうなってしまったのか、考えてみることにしましょう。
まずは天井とボンネット。ほとんどシルバーになってしまっています。
こちらのお車はもとは赤っぽいメタリックだと思うのですが、見事にシルバーになり、さらにクリアはげも出てきています。
これは天井とボンネットは太陽光が当たる率がが高く、仕方がないと言えばそうなのですが、赤メタリックの赤(有機顔料)がなくなってしまい、シルバー(無機顔料)だけになってしまっているのです。
さらにボンネットはエンジン自体の熱もよくあたるので余計に劣化が早くなります。
バンパー部分とフェンダー部分にも注目してみると、これも面白いことになっています。
これはなぜでしょうか?
引っ張りますがつづきます。
2024年7月31日 | CATEGORY:代表大野ブログ, 車刷毛塗り全塗装
タカラ塗料代表の大野です。
今回も前回に引き継いで色あせについて書きます。
色褪せの記事はこちら
前回にも書いたのですが「無機顔料」と「有機顔料」があるという話でしたが、どんな顔料かというと下記のようになります。
無機顔料(無彩色や低彩度色が多く退色しにくい)
□白
チタン白
□黄色
チタン黄 黄色酸化鉄(イエローオーカー) 黄鉛
□橙
クロムバーミリオン
□赤
赤色酸化鉄(べんがら)
□青
群青 紺青 コバルトブルー
□緑
複合酸化物グリーン 酸化クロムグリーン
□黒
黑色酸化鉄(鉄黑) Fe. Mn系複合酸化物 カーボンブラック
□その他
メタリック顔料 パール顔料 防錆顔料 艶消し顔料
有機顏料(鮮やかな色が多く退色しやすい)
□黄
モノアゾイエロー ジスアゾイエロー ポリアゾイエロー ベンズイミダゾロンイエロー イソインドリノンイエロー キノフタロンイエロー
□橙
モノアゾオレンジ ジスアゾオレンジ ベンズイミダゾロンオレンジ ペリノン
□赤
モノアゾレッド ポリアゾレッド キナクリドンレッド ナフトールレッド ベリレン アンスラキノニール ジケトピロロピロール
□紫
キナクリドンバイオレット ボンマルン ジオキサジンバイオレット
□青
フタロシアニンブルー インダンスレンブルー
□緑
塩素化フタロシアニングリーン 臭素化フタロシアニングリーン
□その他
蛍光顔料
このようになります。何が何やらぼくもわかりません。
さらにこの中でも退色しやすい色もあります。例えば蛍光顔料ですが、屋外で蛍光や蓄光などの色というのは見たことがないかと思います。それらの色は本当に1カ月もすれば飛んでしまう(なくなってしまう)ので屋外では使えないのです。いや、使ってもいいけどすぐになくなってしまいますし、それでもいいと割り切れるほど安いものではないのです。
つづく