タカラ塗料のブログ

日塗工番号と旧日塗工番号ではマンセル値が違う??つづき

タカラ塗料の大野です。

前回のブログで古い日塗工と旧日塗工では同じマンセル値でも色が違うというお話を書きました。
今回はそれの続きです。

1987年M版のM20-344と2011年F版のF25-80Bとの比較です。
このように同じ5Y7/1でも色が違います。

原因にはそもそもマンセル値は絶対的な基準はないのがまずもっての問題です。

1メートルの長さを決めている基準

1メートルという長さは昔はメートル原器という白金とイリジウムの合金で基準が作られ、これを「1メートルとする!」と決められていました。
それが物質で作っちゃうと暑さ寒さで若干伸び縮みするし、人の手で作るから誤差もでるよね、となり、その後は「光が真空中で299,792,458分の1秒間に進んだ距離を1mとする」と決められたそうです。このように基準を作るのですが、ではマンセル値はどのように基準が作られるのでしょうか?

マンセル値であらわされる色の基準は?

もともとはMunsell Book of Colorsというので決められているそうなのですが、この世にあるすべての物が経年で変化しますし、機械の力で測るにもその技術の進歩や機器により色味は変わってしまい、色味には絶対的な基準というものはいまだに作れていません。
例えばN-95は真っ白を指すと決まっているんですが、その白をどの真っ白とするかということは、決めるのも難しいのです。
では理想的な真っ黄色も真っ赤も真っ青も基準が決められるものではなく、あくまで参考値という形になってしまいます。これらの理由から現在の見解では同じ表記であっても再現される色には幅があると考えるのが現実的です。

よって同じマンセル値でも色味の違いが出てくるのは当然のことです。
ですので日塗工の色見本帳には「マンセル値で(塗料を)発注しないようお願いします。」という表記があります。
現場ではもちろんマンセル値で注文される場合も多いのですが。。

日本塗料工業会が推奨する色の指定の方法

では日塗工はどのように色を指定して、と言っているかというと、
「有効期限の切れていない色見本帳で色を確認して、日塗工番号で注文して」
と言っています。
日塗工の色見本帳には2年という有効期限がありまして、それがすぎると保管状態により色味が変わってくる恐れがあるのでそう言っています。

なぜ旧日塗工と新日塗工で同じマンセル値でも色が変わってしまったか?の推測

さて話は旧番号と新番号に変わる境目のところでマンセル値が同じでも色が変わってしまった問題ですが、おそらく
「マンセル値を日塗工番号に反映することになったから、その際にちゃんと現状のマンセル値とあってるか確認してみよう」
となったのだと思います。
確認してみるとあら大変、旧日塗工に書いてあるマンセル値はちょっとずれてるやん!色表体系作ったら矛盾が起きそうやん!となったんだと思います。
旧日塗工色見本帳はトーン分類で分けられていたのですが、新日塗工色見本帳は色相でしっかりと分けて掲載していくことになったので、同じ紙で並べたら矛盾が生じてきたのです。

まったくの想像ですが当時様々な葛藤があったと思います。しかしそこで批判を覚悟で
「新日塗工色見本帳と旧日塗工色見本帳ではマンセル値が同じでも色味ががちょっとずれてもいいこととする」
と決定したのでしょう。

そうなると古い旧日塗工で塗られていたものを塗りなおさないといけないとき、旧日塗工番号で注文されても日塗工番号の有効期限は2年という縛りがあるため、旧番号で注文されても困る!そして同じマンセル値で買われても困る!やむなし、
「旧番号に対応した新番号を公式に定めよう」
となり、その表が新日塗工番号になったあとの版にも掲載されることになりました。

T版の旧番号対応表 色の関連というところでどれだけ色が近いかを書いている

そしてしばらくマンセル値にもいちいち「近似」と書くことにして、古い色見本帳とマンセル値一緒やのに色が違うやん!という批判も避けたのでした。

話は長くなりましたがこれが調色屋のサイトに乗っている旧番号の秘密です。

新番号の後に「旧番号344」と書いているのは「旧番号の344が欲しかったら新番号のこの色が一番近いよ」という意味なのです。
※2024年12月現在、上記の表記は行っておりません。旧日塗工番号各色ページにて、近しい色の新番号の情報をご確認いただけます。(対応する新番号がある色分のみ)

ちなみにですが1993年の発行版にて廃止された旧番号ですが未だに塗料業界の現場ではこの番号での注文は行わています。
ただどの会社も同じだと思いますが、これらの色見本帳はかなり希少になってきていまして、タカラ塗料でもよく出る色は独自に基準板を作ったりしています。

ながくなりましたが「日塗工番号と旧日塗工番号ではマンセル値が違う??」でした。

日塗工番号と旧日塗工番号ではマンセル値が違う??

タカラ塗料の大野です。
今回は日塗工番号の古さによりマンセル値が違ってくる?のお話を書きます。マニアックです。

まず日塗工番号とは日本塗料工業会が出している色見本帳に掲載されている番号です。

現行の日塗工番号

このKの部分は発行年度を表します。それ以下のアルファベットや数字はマンセル値を表します。
ということは日塗工番号=マンセル値、ということになります。

旧日塗工番号とは?

そして難しいのは、これらは現行の日塗工番号で、古い日塗工番号というものが存在します。
それは1993年発行のS版以前の版に掲載されている番号です。上記のようにマンセル値から作った番号ではなく通し番号のような番号です。
ただ一応100の位以上が色相を表しています。

さてさらにややこしいのはここからです。

どちらの版の色見本帳にも「マンセル値」が載っているのですが、同じマンセル値でもそれぞれの色が違うことがあるのです。

同じマンセル値でも色が違う??

旧版と新版でマンセル値が同じなのに色が違うことは多々あります。
たとえばこちら

1987年M版のM20-344と2011年F版のF25-80Bとの比較です。

ちょっと光っててわかりにくいですが、同じマンセル値でも344のほうがやや黄色っぽく明るいイメージです。

なぜこんなことになってしまっているのでしょうか??

つづきます。。

紫の色の塗料は少ない?

京都店限定色「京紫」

紫色があまり使われていないのはなぜ?

紫の車、紫の家、紫の家具、紫の壁、紫色の服と紫色のものというとなかなか頭に浮かぶ色ではないと思います。それだけに紫色というのは日常ではあまり見かけない色です。

紫色を作りたくてもなかなか作れない

とは言え紫色にしたいなぁと思うこともあると思いますが、それがまたなかなか難しいのです。
赤と青を混ぜれば紫になる、というのは小学校でも習うことではあるのですが、実はそれもなかなかうまくいかないのです。
なぜうまくいかないのかと結論から申し上げますと「理想的な赤と理想的な青がない」からなのです。
理想的な赤とは黄色くも白くも黒くも青くもない「赤」
理想的な青とは黄色くも白くも黒くも青くもない「青」
です。

皆さんが想像する「青」は海のような空のような青ですが、それらも理想的な青よりも白かったり、黄色かったり、赤かったりします。赤もしかりです。
ですので例えば「黄色っぽい赤」と「ちょっと白っぽく黄色っぽい青」とが混ざると、色の三原色がそろってしまい黒っぽく濁ってしまうのです。

ではどうすれば紫色が作れるか?というと、初めから紫色の原色を使う必要があるのです。
そしてその紫色の原色というのはなかなか手に入りにくいのです。

紫色の原色がなぜ手に入りにくいのか?

何故紫色が手に入りにくいのか?
それは単に需要がないから、です。

家や壁を紫色にしたい人が少ないので、紫色の原料はあまり仕入れられません。
工業製品は多く生産すればするほど、安くなるので使う人が少ないと値段が高くなります。さらに高いと塗られることが少なくなり人の目に触れなくなります。

そうすると紫色にしたいと人も少なくなっていくのです。。

さてタカラ塗料では紫色系の調色ももちろんできますし、お客様に調色いただける紫色の原色もご購入いただけます。

紫色の原色を販売しているページ一覧

油性系種ペン(バイオレット)>>
ラッカー原色(バイオレット・マルーン)>>
フタル酸原色(バイオレット・マルーン)>>
1液ウレタン(バイオレット・マルーン)>>
2液ウレタン(バイオレット・マルーン)>>
水性アクリル艶有(ラズベリー)>>
水性艶消(ラズベリー)>>
ミューラルペイント室内用ラズベリー>>
ミューラルペイント室内用パープル>>
ミューラルペイント屋外用ラズベリー>>
ミューラルペイント屋外用パープル>>

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塗料の販売、塗料の色を合わせる調色、オリジナル商品の開発、全国へのインターネット通販を行っております。

オリジナル商品

当店では、お客様との距離が近い分、 「こんな塗料が欲しい!」 「あんな商品があったらいいな」 というご意見を多数お聞きします。 それを叶えるために、色々とお調べしまして既製品を探すのですが、存在しないことも多々あります。 無いなら作ってしまえ!ということで、他のお店には無いオリジナル商品が多数あります。 そんな商品をご紹介します。

  • セメント風塗料材

  • チョークボードペイント

  • エイジング塗料のコンガリー

  • サビ風塗料