タカラ塗料のブログ
2023年10月16日 | CATEGORY:item, news
10/19から淡路島の洲本市で開催される「mt project at 洲本×S BRICK」。
マスキングテープのmtシリーズで人気のカモ井加工紙様と、洲本市で地域の方と観光客との交流拠点を運営するS BRICK様がコラボして、地元商店街やお寺、古民家などをマスキングテープでリメイクするプロジェクトです。
このプロジェクトに、タカラ塗料も参加しました。施工したのは、よりまち荘という古民家母屋の二部屋です。このよりまち荘は、普段大学生のフィールドワークの拠点として活用されているようです。
ほぼ同じ造りのこの古家の二部屋はきれいに整えられていましたが、壁や床がプリント合板で作られているせいか、古めかしい印象の部屋でした。
この古家は原状回復しなければならないということで、「剥がすだけで原状回復が可能な塗装下地用マスキングテープ・ペインタブルテープ」を貼って原状回復可能な状態にしてから塗装します。
部屋のデザインを、よりまち荘の管理人さんに考えていただきました。
デザイン案はこちらです。
東側の部屋は朝日に、西側の部屋は夕日に照らされた海や山をイメージしたとのこと。壁全面と天井にペインタブルテープを貼ってから塗装した後、mtマスキングテープで装飾していくというデザインです。
他にはない、とっても素敵なインスタレーションになりそうです。
大事なのは、mtマスキングテープとタカラ塗料のオリジナルカラーが上手くマッチするかというところ。管理人さんはタカラ塗料のサイトを見て、それぞれ世田谷ベースカラーとテラコッタオレンジをセレクトされていましたが、モニターで見る色と実際の塗料の色味には相違があるので、塗装色についてはタカラ塗料で調色することになりました。
世田谷ベースカラーとテラコッタオレンジにmtマスキングテープを当ててみると…
▼世田谷ベースカラー
▼テラコッタオレンジ
やはり色の彩やかさや明るさが違うため、不釣り合いに感じます。
mtマスキングテープの色味に合わせて調色した色がこちらです。
▼東側の部屋 朝日ブルー
▼西側の部屋 夕日オレンジ
鮮やかさ、明るさが揃って塗料とmtマスキングテープの色味が上手くマッチしています。管理人さんにOKをいただき、この色で塗装することに決定しました。
施工したのは10/5と10/6の二日間。
ペインタブルテープはリリースしたばかりの新商品ということもあり、部屋の壁全面と天井にペインタブルテープを貼るというのは初めての試みです。施工メンバーで事前ミーティングをして、貼り方の作戦を立ててから施工に臨みました。さらに施工当日は洲本市の地域の方にご協力いただきました。
プリント合板は凹凸がなくツルツルとした素材のため、エンボスがある壁紙より貼るのが大変なんじゃないかと心配していましたが、比較的きれいに、大きなシワが寄ることもなく貼っていくことができました。
細かいところは、普段養生(塗らないところを保護すること)するのに使うマステを使いました。テープの上からペンキを塗るので、継ぎはぎでもところどころマスキングテープの色が違っても気にしなくていいのがこの塗装方法のメリットです。
大変だったのは天井に貼る作業です。地域の方々とアイデアを出しあいながら、どういう風に貼るのが効率がいいか探っていきます。
その結果、貼り始め・中継・貼り終わりと三人で作業していくことになりました。「肩をずっと上げているのがしんどい…」という声も時折聞こえてきましたが、貼りすすめていくうちに慣れてきてスムーズに貼り終わることができました。この連携プレーには脱帽です。
▼ペインタブルテープを貼り終わった状態がこちら
ペインタブルテープを貼り終えたら、壁の上半分をややクリーム色がかった色味のタカラ塗料オリジナルカラー、ミルクセーキで塗装します。
東側の部屋のミルクセーキの塗装までで一日目の作業が完了。
思いの外ペインタブルテープを貼る作業が順調にいったので、二日目はとにかく塗装するのみ。なんとか二日間で施工を終わらせることができそうです。
二日目は東側の部屋のメイン色、朝日ブルーの塗装と、西側の部屋のミルクセーキの塗装から作業開始。
塗料には、色によって下地の色が「透けやすい」「透けにくい」という差があります。これを「隠ぺい力」といいます。オレンジや赤、黄色などは特に透けやすい=隠ぺい力が低い色と言われています。
朝日ブルーの色味は隠ぺい力が高かったので、二回塗りで下地の透けがなくなり塗装が完了しました。
乾いたのが確認出来たら不要なマスキングテープを切り取ります。
さらに、装飾用のmtマスキングテープでデザインしていきます。
西側の部屋もいよいよメイン色夕日オレンジの塗装です。
朝日ブルーと違ってやはりオレンジは隠ぺい力が低く、下地の色が透けたりムラがなくならずなかなか色が決まりません…。
五回塗りでやっと色が決まりました。
不要なマスキングテープを切り取り、装飾用のmtマスキングテープを貼ってすべての作業がついに完了しました!
▼完成写真がこちら
古めかしい印象だった古家の二部屋が、塗装と装飾で見違えるようになりました。
施工にご協力いただいた地域の方からは、「ペインタブルテープで原状回復が簡単にできるんだったら、賃貸物件だけじゃなくて色々なところで使えそう」「塗装って意外と簡単で楽しい!」「古家の部屋からの代わり映えがすごくて、頑張った甲斐があった」など、驚きと喜びのお声をいただきました。
イベントが終わったら、ペインタブルテープを剥がすだけで現状回復ができます。
直接塗装ができない賃貸物件での使用の他、このような期間限定のイベントの際にも「剝がすだけで原状回復ができるペインタブルテープ」を使うのがおすすめです!
この部屋は10/19~11/1までのイベント期間中、どなたでも実際にご覧いただくことができます。お近くの方はぜひ、遊びに行ってみてください。
▼壁紙に貼って塗って剥がせるマスキングテープ・ペインタブルテープの商品ページはこちら
2023年9月19日 | CATEGORY:item, news, イベント
あきらめていた賃貸での塗装を実現できる「ぺインタブルテープ」を共同開発したご縁で、おしゃれなマスキングテープでおなじみのmtブランドを持つカモ井加工紙株式会社が年に一度開催している「mt factory tour」に参加させていただきました。こちらは、岡山県倉敷市にある工場でmtが完成するまでの一連の流れを見学できるもので、限定商品も多数ゲットできます。
そしてなんと、vol.12のデザインテーマは、「塗料」でした。キービジュアルのペンキが飛んだようなデザインだけでなく、刷毛やローラーをモチーフにしたグッズも販売されていました。
<マスキングテープでラッピングされたバス(上)と様々な柄のマスキングテープで作成されたウェルカムボードの文字(下)>
<物販エリアの様子>
沢山の商品が並ぶ中、1つ売りのマスキングテープは限定もの、発売シーズンやテーマに分けてランキング形式で商品が展開されていました。デザインが見やすく確認しやすいことはもちろん、全ての商品に視線が向くようにディスプレイされていて、気づけばついあれもこれもと手に取ってしまっていました。
売上ランキングを詳しく見てみると、
無地のもの 1位 マットホワイト 2位 マットブラック 3位 ローズピンク
シンプルなデザインのもの 1位 ドット・ホワイト 2位 ストライプ・ホワイト 3位 ドット・いちごミルク でした。
<売上ランキング 無地のもの(上)とシンプルなデザインのもの(下)>
弊社の内装に塗るオリジナルカラーの売上ランキングは、1位 マットホワイト 2位 サマークラウド 3位 世田谷ベースカラー
車にDIYで塗装できる刷毛塗全塗装用の塗料は、1位 マットブラック 2位 イーグルブルーグレー 3位 オリーブドラブとなっています。マスキングテープと同じく無難な色が人気な印象です。
マスキングテープとオリジナルカラーは明るい色が上位なのに対し、車用の塗料は暗い色が上位に来ています。小物や部屋と車、という場所に求める条件の違いもあるので比較にはならないかもしれませんが、車は男性が塗装されることが圧倒的に多いので暗い色が人気なのかもしれないと感じました。
<商品ディスプレイ>
ふたを閉めればそのまま持ち運べるような、遊び心とイベントへの意識を兼ね備えた什器での展開も、シンプルで商品を邪魔しないうえに可愛らしさもあり、とてもマスキングテープに合っていて素敵でした。
<日本の色100>
またセット売りの商品には、シルバーやゴールド系のセットや、7本ほどを使ってグラデーションになったものなどがありました。
中でも目を引いたのは「日本の色100」でした。日本の伝統色が10色ずつセットになったものが10種展開されていました。沢山の色が並んでいるだけで、とても惹きつけられたので、今後のタカラ塗料店頭での商品ディスプレイの参考にしたいと思いました。
今回の工場見学で、ぺインタブルテープの可能性が大きく広がりました。
ぺインタブルテープとは、ペンキが塗れる幅の広い塗装用マスキングテープです。このマスキングテープの上から塗装すれば、原状回復が必要な賃貸物件の壁紙でも好きな色に変えられます。
壁紙の色を塗り変えたいけれど賃貸だからDIYできない、とあきらめている方や、ペイントDIYしたいけれど直接塗るのは心配という方、経年劣化でボロボロになった壁紙をどうにかしたい、とお困りの方におすすめです。また、部屋のドアやキッチンの腰壁などツルツルとした素材でも、このテープを貼れば下処理の手間なく塗装することができます。
▼壁紙に貼って塗ってまた剥がせるマスキングテープ ペインタブルテープ
https://takaratoryo.shop/?pid=175604677
<バスの車内の床の様子>
ぺインタブルテープ発売当初、お客様から「ぺインタブルテープを床に貼ることはできますか。」というお問い合わせがあったものの、歩行するうちに破れたり、重なった部分がめくれてきてしまったりという可能性が高くおすすめはしていませんでした。ですが、駅から工場への送迎に使われるバスが内装もマスキングテープでラッピングされていて、そのバスの床に貼ってあったものが靴で歩行しているにもかかわらず継ぎ目のめくれが目立ちませんでした。ぺインタブルテープは上から塗装をしますのでよりめくれが起こりにくく、お勧めできるかもしれないと実験してみたくなりました。
また、車を印刷したテープではなくペイントでデコレーションしてあり、車や自転車の塗装にも十分使っていただけるのではとぺインタブルテープの活躍できる場所が大いに発見できた機会となりました。
<マスキングテープの上から塗料でデコレーションされた車>
マスキングテープのイベントではありましたが、塗料とペインタブルテープの可能性を感じるような発見があり、新たな商品を生み出すためのアイデアも多く詰まっていました。1歩足を踏み入れただけでワクワクする空間で、たいへん刺激を受けました。
弊社の塗料でもワクワクを感じてもらうにはどうしたらよいか、様々な点を見つめなおし、考えるきっかけとなりました。
2023年7月11日 | CATEGORY:item, news
当店のスタッフは、業務で壁紙の塗装をすることがしばしばあります。真っ白で味気ない空間に色が付いていく様を目の当たりにしたり、経年劣化で黄ばんでいる壁紙を塗り替えてきれいにするという経験をすると、自宅の壁紙も好きな色で塗装してリフレッシュしたいという気持ちがふつふつと湧いてくるものです。ですが、「賃貸だから壁紙に塗装するなんて絶対にできない…」というスタッフも多く、賃貸住まいのスタッフは壁紙の塗装をあきらめざるを得ないのが現状です。
そこで思いついたのが、「幅の広いマスキングテープを壁紙全面に貼ってその上から塗装する」というアイデア。この塗装方法なら賃貸でも壁紙の塗装をあきらめなくてすむかもしれません!
ということで、マスキングテープで人気のmtシリーズを販売している「カモ井加工紙株式会社」様に依頼して、幅300mmと150mmのマスキングテープを試作していただきました。
こちらのマスキングテープはいわゆる“塗装用”のものです。塗料との密着性がよく、それでいてにじまない素材でできています。また、壁紙との付着性は高いものの、剥がす際に素地を痛める心配はないとのこと。
ということは、「マスキングテープの上から塗装する」のは壁紙を傷つけることなく原状回復できる塗装方法と断言できるのですが、果たして本当に上手くいくのでしょうか? 誰も試したことがない塗装方法なので、期待と不安が入り混じりながら実際に幅広のマスキングテープを使って塗装してみました。
塗装するのは賃貸事務所の、経年劣化で黄色く変色した壁紙です。聞くところによると、以前はこの部屋で焼き肉をしたり、喫煙もしていたそうです。
「汚れている壁紙をどうにかしたいけれど、賃貸だからあきらめていた」というこの事務所のオーナーさん。幅広のマスキングテープを使えば塗装できるかもしれない、という話を聞きつけ、今回の塗装が実現しました。
さっそく作業していきます。内装工事の業者さんが見学にいらしていたので、一緒に作業していただきました。
下準備として、汚れやホコリでマスキングテープが剥がれるのを避けるため、壁紙の汚れを落とします。今回は変色がひどく、油汚れ等が付着している可能性があるので中性洗剤を使って壁紙の拭き取りを行いました。
一通り掃除して、水気が取れたらマスキングテープを貼っていきます。
ポイントは、塗らないところにも広く(余分に)マスキングテープを貼るということです。こうすれば「塗っちゃいけないところに塗料が付いてしまった」という失敗を防ぐことができます。塗装後、不要な部分をカットすればいいだけなので、こういう風に広範囲にマスキングテープを貼っていくと安心ですね。
もう一つのポイントは、マスキングテープ同士の端を重ねながら貼っていくということ。こうすることで下地の壁紙に塗料が滲むのを防ぐことができます。
始めは空気が入らないようにテープを貼るのにコツが要りましたが、慣れるとサクサクと作業が進んでいきます。
作業効率が良かったのは、300mm幅のマスキングテープの方でした。150mm幅のマスキングテープだと貼り終えるのに倍の時間が掛かりますし、逆にこれより幅が広いとシワが寄らないように貼っていくのに苦労しそうです。
難しかったのは角の部分の処理です。平面と違って角に合わせて直角に貼る必要があるので、どうしてもシワが寄ってしまって大変でしたが、貼りやすい長さにマスキングテープを切って少しずつ貼ることで対処しました。
2人で作業して一時間程度で貼り終わりました。
マスキングテープを全面に貼り終えたら塗装スタート。細かな凹凸がある壁紙より、断然塗りやすくスムーズに作業が進んでいきます。
一回目を塗り終えたところでまだマスキングテープの紫色が若干透けていたので、乾かしてから重ね塗りしました。
十分に乾燥させた後、カッターで不要な部分を切り取ったら完成です。このように要らないところをカットすることで、塗りたいところだけ塗装しているという状態にすることができます。
落ち着いたブルーグレーの色味で、部屋全体がシックなイメージに様変わりしました!
「塗るための壁紙」という商品も販売されているようですが、この幅広マスキングテープは塗りたくない部分を保護する「養生」も兼ねているので一石二鳥です。しかも幅が300mmと扱いやすく、壁紙と違って貼り直しが簡単にできるので、DIY初心者にはチャレンジしやすい方法だと思います。
ただ、気になるのは本当に壁紙に塗料が滲んでいないかということ。滲んでいないかどうかを確かめるために、塗装したマスキングテープを剥がしてみました!
気になる結果は…
滲みゼロです! 壁紙にマスキングテープを貼ってから塗装するという方法だったら原状回復できることが検証できました。作業を手伝っていただいた内装工事の業者さん曰く、「今までは賃貸店舗の施工の際に、壁紙の色を好きなように変えたいというクライアントの要望を泣く泣く断ることがあったけど、この方法だったら請けることができるかも!」と興味津々でした。
以上が開発の第一歩です。
この日以降、適切な粘着力や、塗りやすい色、また、貼りやすい幅などを考慮して試作を重ね、ついに「塗装できるマスキングテープ・ペインタブルテープ」が誕生しました!
マスキングテープを貼ってから塗装する、という方法だったら現状回復が必要な賃貸住宅や賃貸事務所の壁紙でも、自分の好きなようにお部屋の色を変えることができます。
ぜひ、このマスキングテープを使ってペイントDIYを楽しんでください。
塗装できるマスキングテープ、ペインタブルテープのご注文はこちら
※このブログで紹介しているのは試作品です。実際のテープの色は薄いグレーで、幅は300mmと100mmになります。